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1999年:デュエル・マスターズ誕生の瞬間
「デュエル・マスターズ」とは、アメリカのウィザーズ・オブ・ザ・コースト社が開発し、日本のタカラトミー社から発売されているトレーディングカードゲームです。
最初はカードゲームとしてではなく、1999年4月15日に「月刊コロコロコミック5月号」から連載漫画としてスタートしました。
この頃は、まだ現在のデュエル・マスターズというカードゲームは存在しておらず、漫画内では「マジック:ザ・ギャザリング」というカードゲームを題材として扱っていました。
漫画家:松本しげのぶ先生が、TCGというものに興味を持ち始めた頃に、ちょうど小学館からマジック:ザ・ギャザリングの漫画連載の話を持ちかけられたそうです。
そして4巻程度描き進めたところで、「全く新しいシステムのTCGを作ろう」という提案が小学館から上がりました。(マジック:ザ・ギャザリングを扱った話は7巻まで続きます。)
当初、松本先生はそれを受けて「新しいカードゲームで成功するわけがない」と思ったそうですが、今日まで世界観やルール、クリーチャーのデザインを「どうしたら子どもに受け入れてもらえるか?」を軸に考案されています。(開発会議に参加してみんなで制作しています。)
例えば、デュエル・マスターズを開発する際に、マジック:ザ・ギャザリングと同じ「ライフ制」では、漫画になった際にキャラクターが傷つく描写が増えてしまうため、松本先生が「なにか防ぐもの、トークンなり防ぐものが壊れていくものにしてほしい」と提案、その後、「シールド」や「シールド・トリガー」の概念が誕生しました。
漫画でも取り扱うカードがマジック:ザ・ギャザリングからデュエル・マスターズに変更。
参考:『デュエル・マスターズ プレイス』超特集! 松本しげのぶ大先生が語る『デュエル・マスターズ』誕生の瞬間!!
参考:本邦初公開!? デュエル・マスターズ『カード開発会議に潜入!!』〈前編〉
参考:【新連載】『デュエル・マスターズ』の歴史を振り返る! 「コロコロ×デュエマ歴史館 超動邂逅〜クロニクル・エンカウンター〜」連載スタート!
参考:【コロコロ×デュエマ歴史館】新たなTCG旋風が巻き起こる!!2002年TCG『デュエル・マスターズ』超動!
2002年5月:カードゲーム第1弾が発売
上述した背景のもと開発が行われ、2002年5月30日に最初の商品「DM-01 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第1弾」と「DMS-01 デュエル・マスターズTCG スターターセット」が同時発売されました。
後に「基本セット」と呼ばれるシリーズ(1弾〜5弾)の最初の商品です。
発売日 | 商品名 |
---|---|
2002年5月30日 | 「DM-01 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第1弾」 「DMS-01 デュエル・マスターズTCG スターターセット」 |
2002年7月25日 | 「DM-02 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第2弾 進化獣降臨(マスター・オブ・エボリューション)」 |
2002年10月17日 | 「DM-03 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第3弾 超戦士襲撃(マスター・オブ・デストラクション)」 2002年10月21日アニメ「デュエル・マスターズ」放送開始 |
2002年12月16日 | 「DMC-01 デュエル・マスターズTCG 勝舞火炎デッキ」 「DMC-02 デュエル・マスターズTCG 黒城暗黒デッキ」 |
2002年12月19日 | 「DM-04 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第4弾 闇騎士団の逆襲(チャレンジ・オブ・ブラックシャドウ)」 |
2003年2月20日 | 「DMC-03 デュエル・マスターズTCG 勝舞火炎強化拡張パック」 「DMC-04 デュエル・マスターズTCG 黒城暗黒強化拡張パック」 |
2003年3月20日 | 「DM-05 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第5弾 漂流大陸の末裔(リターン・オブ・ザ・サバイバー)」 |
W・ブレイカーやブロッカー、S・トリガーといった基本的な能力が登場。
第1弾(DM01、DMS01)環境のカード、デッキ
「DMS-01 デュエル・マスターズTCG スターターセット」には必ず《ガトリング・ワイバーン》か《トゲ刺しマンドラ》のホイルカードが付属していましたが、そのカードパワーの差は今でも話題に上がるほどです。
多くの子どもたちは、《ガトリング・ワイバーン》などの大型クリーチャーを出し合うゲームをして遊んでいましたが、ゲーム性を理解した人たちの間では、《サイバー・ブレイン》や《デス・スモーク》など、盤面を処理するカードが多く使われていました。
「DM-01 デュエル・マスターズ TCG 拡張パック 第1弾」の収録カード数は全部で120種あり、当時はブロッカーの種類が多く、19種ありました。さらにブロッカーは、バニラクリーチャーよりも高いパワーを持つようにデザインされていたため、早期の勝利を目指すビートダウンデッキは苦しい戦いをしていました。(バニラの《炎のたてがみ》はパワー2000。ブロッカーの《碧玉草》はパワー3000。)
最終的に、パワーの高い《光輪の精霊シャウナ》や、ブロックされない《キング・オリオン》などをフィニッシャーとして、いかに相手のそれらを除去するかという戦いが繰り広げられていました。
原作漫画の主人公が有する、《ボルシャック・ドラゴン》などの火文明のカードは、以上の理由で強いというわけではありませんでした。
《ホーリー・スパーク》、《デーモン・ハンド》、《ナチュラル・トラップ》は三大シールド・トリガーと呼ばれ、強力な逆転カードとして機能していました。
そのほか、《凶戦士ブレイズ・クロー》、《サイバー・ブレイン》といった人気のカードも第1弾で登場しています。
当時は大型大会などの開催もなく、本気で極めるゲームというより、多くの人にとっては漫画の再現をしたり楽しく遊ぶためのアイテムにすぎないというものでした。
1弾環境のサンプルデッキはこんな感じ。
こちらの第1弾環境での対戦動画も、環境理解の参考になります。
当サイトでも、過去環境で遊ぶ大会「デュエマクラシック」の結果をまとめていますので参考にしてください。
公式からは、2002年7月12日に「デュエルマスターズ 全方位カードファイル Vol.1」というガイドブックが発売されています。
そして2002年7月13日には、デュエマ初のイベント「D・Mバトルアリーナ」が、「The熱闘バトル! ホビーキャラバン2002 -コナミ・タカラ・ハドソン HOTプロジェクト-」にて開催されました。「第16回次世代ワールドホビーフェア」を皮切りに、毎年次世代ワールドホビーフェアにも参加するようになります。
参考:デュエルマスターズ1弾環境のデッキを組んだ
参考:【デュエルマスターズ】歴代環境デッキ(2002年~2010年)
参考:THE熱闘バトル!ホビーキャラバン2002開催 報道資料
同年7月:第2弾が発売
第1弾発売から約2ヶ月後の2002年7月25日に発売された「DM-02 第2弾 進化獣降臨」(全60種類)からは、強力な「進化クリーチャー」などが登場し、環境が一変します。
クリーチャーの上に重ねて強化する進化クリーチャーが登場し、種族に役割が生まれました。
第2弾(DM02)環境のカード、デッキ
2002年7月15日に発売された「コロコロコミック2002年8月号」付録の《機神装甲ヴァルボーグ》を皮切りに、「DM-02 第2弾 進化獣降臨」には《クリスタル・ランサー》、《大勇者「ふたつ牙」》、《守護聖天ラルバ・ギア》といった進化クリーチャーが登場します。
低コストかつ召喚酔いのない進化クリーチャーの登場により、ゲームスピードは飛躍的に加速しました。
中でも《クリスタル・パラディン》、《クリスタル・ランサー》、《コーライル》を有する水文明は、突出した強さを誇りました。水文明の強化は、基本セットのシーズンが終わる第5弾まで続き、最終的に環境に存在するデッキ全てに水文明が採用されるまでになります。
この頃は単色でデッキを組むことが難しく、2〜3色でデッキを組むのが基本でした。
参考:月刊コロコロコミック2002年8月号 レビュー
参考:【デュエマ】2弾環境 最強《クリスタル・ランサー》【ゆっくり解説】
同年10月:第3弾が発売
2弾発売から約3ヶ月後の2002年10月17日に発売された「DM-03 第3弾 超戦士襲撃(マスター・オブ・デストラクション)」(全60種類)は、「単色」をテーマに発売されました。
マナゾーンやシールドゾーンを参照するカードが多数登場。
第3弾(DM03)環境のカード、デッキ
DM-02に比べると全体的にカードパワーが低く、商品としての人気はそれほどでした。
とはいえ、《ストリーミング・シェイパー》、《エメラル》、《アングラー・クラスター》といった水文明の強力なカードや、後々人気となる《デビル・ドレーン》、《逆転のオーロラ》などが収録されています。
2002年10月にはアニメがスタート。
さらにホビー関連でも「キューブバトラー」や「アルティメットシールド」といった商品を展開。
参考:【コロコロ×デュエマ歴史館】アニメ、ホビー、新カードパック! 第3弾「超戦士強襲」で単色デッキがパワーアップ!!
同年12月:第4弾と初の構築済みデッキが発売
3弾発売から約2ヶ月後の2002年12月26日に発売された「DM-04 第4弾 闇騎士団の逆襲(チャレンジ・オブ・ブラックシャドウ)」(全60種類)は、パッケージの通り《聖霊王アルカディアス》の光軍団と《悪魔神バロム》の闇騎士団との戦いが大きなテーマとなっています。
S・トリガーのクリーチャーが初登場。
そして2002年12月19日には、デュエマ初の構築済みデッキ「DMC-01 デュエル・マスターズTCG 勝舞火炎デッキ」と「DMC-02 デュエル・マスターズTCG 黒城暗黒デッキ」が同時発売。どちらもDM-03までのカードで、入門者向けに構築されています。
第4弾(DM04)環境のカード、デッキ
しかしこの商品が登場した環境で活躍したのは、《聖霊王アルカディアス》の光文明でも《悪魔神バロム》の闇文明でもなく、《マリン・フラワー》、《アストラル・リーフ》という強化をもらった水文明でした。
2ターン目にはパワー4000の進化クリーチャー《アストラル・リーフ》がアタック可能で、さらに3ドローという破格のデッキパワー。
少し時間が飛びますが、翌年2003年、《アストラル・リーフ》を主軸としたデッキは、その年の7月・8月・11月に開催された「TAKARA ボーイズホビーフェスティバル2003夏」と「TAKARA ボーイズホビーフェスティバル2003秋」で行われた「DMバトルアリーナ2003 無敵(インビンシブル)リーグ(日本一決定戦)」で優勝を果たします。
決勝トーナメントでは、2003年9月25日発売の第7弾までのカードが使用できましたが、この第4弾の影響が大きいのでここで紹介します。
開催日 | エリア予選:2003年7・8月 追加予選・決勝トーナメント:2003年11月 |
カードプール | 〜7弾(殿堂カード無し) |
参加条件 | 葉書による抽選 |
参加資格 | レギュラークラス:中学三年生まで オープンクラス:年齢制限無し |
大会方式 | 予選 8人卓スイスドロー1人抜け 予選通過者による決勝トーナメント |
プロモカード | 予選通過で《超竜ザシャック》のWINNER版Amazon(初のWINNERプロモ) |
ハガキによる抽選での大会参加応募は2006年まで続きます。当時は出場プレイヤーの変更が可能であり、出場権利のトレードが頻繁に行なわれていました。
参考:【DM古代史】公式大会風雲録(前編)
参考:【コロコロ×デュエマ歴史館】光と闇のカリスマクリーチャー降臨! 第4弾「闇騎士団の逆襲」
2003年2月:構築済みデッキの強化パックが発売
そして2002年12月19日に発売した構築済みデッキを強化するパック「DMC-03 デュエル・マスターズTCG 勝舞火炎強化拡張パック」と「DMC-04 デュエル・マスターズTCG 黒城暗黒強化拡張パック」が同時発売。
5枚固定でカードが収録されており、「勝舞火炎強化拡張パック」には《バルキリー・ドラゴン》、「黒城暗黒強化拡張パック」には《魔刻の騎士オルゲイト》が限定の新規カードとして収録されました。
同年3月:基本セット最後となる第5弾が発売
4弾発売から約4ヶ月後の2003年3月20日に発売された「DM-05 第5弾 漂流大陸の末裔(リターン・オブ・ザ・サバイバー)」(全60種類)は、基本セット最後のエキスパンションです。
次の商品からは始まる「闘魂編(インビンシブル・ソウル)」シリーズのカードやデッキについては、別の記事で紹介します。
新たな種族システム「サバイバー」や「T・ブレイカー」、「スピードアタッカー」が初登場。
第5弾(DM05)環境のカード、デッキ
T・ブレイカーの《ツインキャノン・ワイバーン》や、スピードアタッカーの《解体屋ピーカプ》が登場しますが、この商品で最も人気だったのが、またも水文明である《アクア・サーファー》でした。
シールドトリガークリーチャーかつ、種族に「リキッド・ピープル」を持つため、登場時にブロッカーを全てバウンスする《クリスタル・パラディン》などに進化が可能。
第5弾環境では、基本的にほぼ全ての環境デッキに《アストラル・リーフ》が採用されており、その中で以下の構築に分かれていました。
- 【赤青リーフ】:《機神装甲ヴァルボーグ》を採用したビートダウン寄りの構築
- 【青単リーフ】:《ホーリー・スパーク》をタッチ採用した水文明中心の構築
- 【青緑リーフ(トリガーターボ)】:《深緑の魔方陣》など自然文明を混ぜたコントロール寄りの構築
次点で《アクアン》を採用した【青白コントロール】、【青青コントロール】が存在しており、「サバイバー」に関しては、現時点ではファンデッキ止まりでした。
ホビーでは2003年3月に「デュエルステーション」が発売されました。テレビに繋ぎ、実物のカードをスキャンして、画面の中のキャラクターたちと戦うことができました。
新しいデュエマの漫画「デュエル・ジャック!!」が連載スタートしました。伊原しげかつ先生が手がけるこの作品は、2003年4月号から2006年8月号まで連載されました。
参考:基本セット環境 – デュエル・マスターズ Wiki
参考:【コロコロ×デュエマ歴史館】圧倒的力、共鳴能力がクリーチャーを強くする! 第5弾「漂流大陸の末裔」
補足:海外での展開
アメリカでは「怪獣道(Kaijudo)」というキャッチコピーで、2004年3月5日に第1弾が発売開始となりましたが、第12弾を最後にアメリカでの展開が終了。アメリカの他、スペイン、ポルトガル、中国などで展開されました。
その後、Duel Legendの商品名で韓国でも展開されたが、こちらも展開終了。
2012年、ふたたびアメリカで「Kaijudo: Rise of the Duel Masters」という商品名で展開されることとなります。基本ルールはデュエルマスターズと同一ですが、カードの種類やデザインは異なっています。2014年に「Kaijudo: Rise of the Duel Masters」の打ち切りが発表されました。
青白オリオン、一角魚、アクアスナイパー重くないですか?